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OSAMUGOODS NEWS

2016年7月2日(土)に原田治さん、OSAMU GOODSコレクター土井章史さん、OSAMU GOODS発案者の石井志津男さんによる『トークショー』が開催されました。OSAMU GOODSができるまでのエピソードや人気グッズにまつわるお話などファン必聴の貴重なトークショーとなりました。その模様をお楽しみください。 前回

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トークショー出演者プロフィール紹介。
石井志津男さん【画像左】…「OVERHEAT MUSIC」レーベル代表。1970年代当時、コージー本舗に在籍していた石井さんの発想でオサムグッズがスタート。
原田治さん【画像中央】…ご存知、OSAMU GOODSの生みの親、原田治先生。
土井章史さん【画像右】…惜しまれながらも先頃閉店した東京・吉祥寺の絵本専門店トムズボックスを経営し、フリーの絵本編集者として、300冊以上の絵本を企画編集。OSAMU GOODS No.1コレクターで、今回の展覧会に数多くのグッズを提供している。
司会・進行役は弥生美術館学芸員の内田静枝さん。

石井_本当に素晴らしいと思うんですよ。単に売れるモノっていうのはあると思うんですけど、そこに、こう、ある種のセンスが入っているっていうのはなかなか無いんですよね。
土井_そうですよね。見ていて素晴らしいものというか、今日は1日見ていても飽き無くて、楽しいですよね。あのー、当時僕はイラストレーターの中村幸子さんと仲良くしていて、90年代辺りですかね、まぁバブル時代の流れの中で遊んでたりしてて。そしたら中村さんが「私、OSAMU GOODSファンクラブに入っているんですよ」って言ってて、そのとき僕は「あ、そう」って(笑)。なんとなくこう「ふうん、そうですか」って。"女子どものモンだ"って、なんかこうちょっといやらしい態度で見てた自分を、とっても反省しています。笑
一同・会場_(笑)
土井_その時、中村幸子に連れられて、ソーダファウンテンに行けば良かった!
原田_はははは(笑)
石井_そっか。(笑)
原田_中村幸子さんっていうイラストレーターですよね。
土井_イラストレーターです。
原田_マガジンハウスで描いてた人だよね。オリーブも描いてたかな…ポパイも描いてたね。
土井_ポパイも描いてました。当時相当なスターイラストレーターでしたよ。
石井・原田_うん。
土井_えー、タブレットケースの話は終わったっけ(前回参照)
石井・原田_あはは笑
土井_話を変えて…。でっかい中華皿【1】。ここに飾ってありますよね。
原田_あそこにありますね。
土井_あの中華皿、不思議でしょうがない。
原田_和物シリーズの後に中国シリーズをやりたいなと思ったんですよね。流行とか関係なく。好みで。
土井_好みで(笑)まぁ、バブルと重なったから原田さんも好きにいろいろ企画ができた?
原田_なんでもできたんですよ、あの頃は。
土井_あぁ…いいですね、楽しいですね!
原田_誰も文句を言わなくて。
土井_あら!楽しい…(笑)
石井・会場_(笑)
土井_中華皿も?でっかい中華皿も作ろうって?
原田_誰が買うのかな?って思ってた。
石井・会場_(笑)
土井_あれは当時の人に言わせると珍しいって言われるんですけど…
原田_最初にね、営業の人とかに説得するには、日本人にはラーメンっていうのはね日本食になってる訳だから、ラーメン用の鉢や丼を持ってないのはおかしいだろ?って言ったんですよ。持ってないでしょうけど、本当は(笑)
土井_(笑)
原田_それで中国柄ってことで、最初にラーメン用の器を作ったと思いますよ。その内に烏龍茶の茶碗が欲しいとか、もうちょっとチャーハンを入れるお皿が欲しいとか、っていう風にだまくらかして。中国風の絵を使いたかったからですね。和物もそうなんですよね。
土井_和物もそうなんですね。
原田_お箸がない人はいないんだからって、ご飯茶碗とお味噌汁の茶碗がないのはヘンだから、それを作ろうって言ったんですよ。何故かあまり売れた気がしないんですよね、和物も中国皿も。
土井_でっかい中国皿は不思議にね、僕の所に3つもあるんですよ。
会場_(爆笑)
原田_でかいのはね、POPとして作ったんじゃないかなと思いますけどね。
土井_ファンシーショップ屋さんからの流れモノかなぁ(編集註:土井さんはネットオークションでOSAMU GOODSを集めています)。
原田_じゃないかなぁと思いますね。実際に使うものじゃなくて。
石井_僕がいたらストップしてますよ(笑)
原田・土井_(笑)
土井_あれね、保管するのが大変ですよ。え…何て言えばいいんですかね、旅行する時に鞄に付けるタグって言えばいいんですかね、こうちゃんと住所とか入れる…あれなんかも作ってますね。
原田_そうですね。作りましたね。毎月20~30アイテムだから、いろんなことをやらないと同じことばっかりになっちゃうんで。
土井_あぁそうか!えー、僕の大好きな…とか言わなくていいですね(笑)ショーツとかもありますね、ショーツ、パンツ。
原田_あぁ…ありましたね。
土井_凄く可愛いパンツがありますね。飾ってないですね?(と内田さんに聞く)
内田_はい…。
土井_あれは可愛い!
会場_(笑)
土井_ランドリーバック【2】も飾ってあって、今日見てたら、ランドリーバックって上から入れて、ちゃんと下の方にチャックがついてる…
原田_そういうの、むこうにあったんですけどね、アメリカなんかでは。
土井_かっこいい。
原田_でも全然売れなかったですね、使う人がいないんじゃないかな日本には…洗濯機入れる前に貯めておくヤツですよね。
土井_あぁ、売れなかったんですか。
原田_あんまりアメリカナイズしちゃうものを作っちゃうと、生活と合わなくなっちゃって、売れない商品になっちゃうんですよね。それで、ラーメン丼とかね(笑)、ご飯茶碗だったら…
会場_(笑)
原田_絶対買うだろうと思ったんだけどなぁ…そんなに買わないんですよね(笑)
土井・石井_(笑)

【1】ファンシーショップでディスプレイに使う等OSAMU GOODSの販促ツールとして作られたと思われる、大きな中華皿。左上がラーメン丼、下はちりれんげ、右上はチャーハンを入れる皿、下は烏龍茶を飲む茶碗と中華料理用食器が一通り揃ってデザインされている。【2】洗濯・アイロンがけするジルが描かれたランドリーバック。今でこそ家庭でよく使われているし、インテリアショップ等で見かけるアイテムだが、販売当初は使い方が分からなかったのだろう。

土井_信用して4000種ってことにするんですけど、だから、売れなかったものも相当あるってことですね?
原田_…と思いますね。
土井_そうなんですね。トートバッグ【3】・ノート【4】・缶【5】とかやっぱり主力はあって、他は原田さんが好き勝手にいろいろ作ってたってことですね?
原田_そうですね。
石井_ノートとかはみんな女の子が買ってた。
原田_それは本当大っきい、基本ですからね。
石井_ちょっと高いですよ、高いんですけど、でも、もの凄い凝ってるんですよ。
原田_後こだわったのは鉛筆【6】ですね。
石井_あぁ鉛筆ね!
原田_みんなシャープペンシルになりかかってた頃だったけども、どうしても鉛筆が好きで。印刷の方式が面白いんですよね。
土井_方式が面白いんですか?
原田_いろんな作り方をするんですよ。鉛筆の色んな色の。
石井_2~3年前?荻野目慶子さんっているじゃない?あいつの弟なのかな、お兄ちゃんなのかな、"おぎちゃん"って言ってる子…友達がいるんだけど、事務所に来て、OSAMU GOODSを持ってきたの。俺が関係してたのを何んかどっかで知ったみたいで、それで「これは慶子が使ってたノートなんだよ」って突然それを持ってきた(笑)
原田・土井_あははは(笑)
石井_やっぱり本当にみんなが、何か、詩を書いたりして。
土井_装丁家の名久井直子さんもやっぱOSAMU GOODSを凄い使ってて、うちで「こういうパンツもあるんだよ」って言ったら「私、それ、履いてた!」って言ってましたね。
原田_名久井さんが!?(笑)あ、本当!?(笑)
会場_(笑)
土井_で、女の子同士で見せ合いっこしてたって。
原田・石井_へぇ(笑)
土井_ランドリーバックの流れで水着…濡れた水着を入れるバックってのがあるんですね。なんて言えばいいんだろうな?
内田_プールバック。
土井_プールバック?
原田_トートバックをビニールコーティングしただけじゃないかなと思うんですけど…?
土井_違いますね。丸い、ちゃんと丸くなってて、底が丸くなってるのがあるんですよ。あるよね?(と内田さんに聞く)
内田_あります。プールバックじゃないかなと思います。
土井_プールバック!
原田_夏用の商品であったかもしれない。浮き袋とかそういうのを作ってましたから。

【3】バックをまとめた展示。スクールバック以外にもトートバックやスポーツバック、紙袋、ポーチ、お財布など様々な種類のバック類作っていた。【4】ひとえにノートと言っても、リングノートや平とじで背表紙がついたノート、ダイアリー式で予定が書き込めるノート、科目や名前が表紙に書き込む欄があり使い分けできるノート…と形状も使い方もバリエーションが豊富で、石井さんが話したようにとても凝った作りになっている。日本にはないデザインのステーショナリーは"アメリカ文化"や"High School"をより強く感じられ、当時の女子高生はOSAMU GOODSに夢中になった。【5】初期OSAMU GOODSの缶。

【6】治さんがトークショー内でこだわったと話していた鉛筆。様々な色やデザインで作られていたのが、展示を見るとよくわかる。(左下画像)チェック柄の12色の色鉛筆セット。チェック柄とロゴとフォントだけのシンプルなデザイン。(右下画像)は土井さんのお気に入り、初期OSAMU GOODSの鉛筆セット。パッケージも格好良くデザインされ、治さんが鉛筆デザインを楽しんでいたのが伺える。

 

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