BOOKS

–1984–

BEDTIME STORIES

OSAMU GOODSマザーグースのキャラクターが、9編の楽しい物語の主人公になった短編小説。
秋山道男さん、鈴木海花さん、林真理子さん、酒井チエさん、
安西水丸さん、秋山猛さん、佐々木克彦さんら豪華な作家陣が参加。
夢の中でも幸せな気分になれる本として、ファンなら誰もが枕元に置いていた本。
原田治さんの素敵な挿絵を掲載。

お台所より愛をこめて オールド・マザーグース/酒井 チエ

–25–

アメリカン・チーズ・ケイキ

なんですか当節は、ゼラチンで固めて作るレアー・チーズ・ケイキが大流行のようでございますね。お菓子作りの本に出ておりますのも、ほとんどこのレアー・チーズ・ケイキ。お味はあっさりしていて大変結構ですけれど、途中で裏漉ししたりというのがちょっと面倒ではございませんこと?

そこでわたくしは、レアーでないチーズ・ケイキの作り方についてお話をすることにいたしました。いかにもアメリカらしい、オーヴンで焼くヴォリュウムたっぷりのケイキでございます。火を通しますけれど、出来上がりましたものはとてもクリーミィで、男の方にも喜んで召し上がっていただけます。


さて作り方でございます。まずはクッキーを御用意いただきましょう。クッキーの形にもよりますが、小さめのものでしたら35枚程度ですかしら。
何もグラハム・クッキーだけと決めてかからなくとも良いと、わたくしは存じます。柔らかくてくずしやすいタイプをお選びになられたほうが、作業が楽ですもの。
御家庭用の缶に、中途半端に残ったまま湿けかかっているクッキーを御利用になる、という手もございますわね。(残っているのはたいてい詰め合わせの中であまり好きではない種類でしょうし。)

クッキーはボウルの中で粉々になるまでつぶします。この場合は、あらかじめビニール袋に入れて綿棒などで崩しておいてから、指先でもみほぐしたほうが力も時間も要りません。

粉々になったクッキーには、溶かしバターを加えて混ぜます。これをケイキ型の内側と底にきっちりと張りつけましょう。ケイキ型はだいたい直径ふぁ23cm、深さが7cmくらいの丸型で、下から押すと底がはずれるようになっているものを使用いたします。

次は、クリーム・チーズの攪拌でございます。御用意いただくのはフィラデルフィア・クリーム・チーズ500gですが、もしお近くに見つかりませんようでしたら、ほかの銘柄のものでも結構です。
(銀色の紙で包んだこのチーズはたいていのスーパーマーケットで売られております。どうでも良いことですが、これはフィラデルフィア・クリーム・チーズという名前がついておりますけれど、何故かオーストラリア製でございますのね。)

ボウルに入れたチーズは、へらでよく混ぜてむらのないクリーム状にいたします。ボウルごと湯せんしながら攪拌いたしますと、力がずっと少なくて済みます。

ここにヴァニラ・エッセンスを小さじ1杯、グラニュー糖大さじ4~5杯、レモン1個分のしぼり汁を加え、さらに卵3個を割ほぐして加えます。

全体がとろとろになるまで混ぜましたら、先程クッキーを張りつけておいたケイキ型に、静かに流し込みます。ケイキ型の2/3くらいまではいるはずです。上1/3は、クッキーの壁がむきだしのままあいて構いません。

こうして流し込みましたものを250度のオーヴンに入れ、20分弱焼きます。
焼けましたら、オーヴンからいったん取り出してさましておきましょう。この間に、二層目の材料を準備いたします。

ボウルにサワー・クリーム400c.c.をあけて、グラニュー糖大さじ3杯を加え、よく混ぜ合わせます。先程焼いて少しさましておいたものの上部に、このサワー・クリームを流し込みます。チーズの一層目と混ざり合わないように充分に気をつけて、そっと流し込んで下さい。

これをまたオーヴンに入れまして、270度で約15分間焼いていただく訳でございます。
焼き上がりましたケイキは完全にさましてから、一晩冷蔵庫に入れて冷やします。

型から出して切り分けますと、微妙に色合いが違う二層が美しく、お味のほうもまた然りという訳でございます。

あらあら御覧遊ばせ。「翌日にならなければ召し上がれません」ということを、初めから申し上げておくのを忘れておりましたわ。でもどうぞまあ、そうがっかりなさらずに。よく、お楽しみは後に延ばす程大きくなるとか申しますでしょう。


ここに書きましたお砂糖やレモン汁の分量は、あくまで参考程度ということでございますから、お味見なさって、御自身のお好みでお決め下さい。
甘味を大巾に減らしましたものも、大人向きのお味でなかなか結構でございますよ。特に男の方には。

なお、大変に厳しいことを申し上げるようでございますが、ダイエット中の方には、このようなデザートをお推めする訳には参りません。お気持を強くお持ちになって、目標体重までぜひとも頑張り抜いて下さいますよう、わたくしも心から応援させていただきます。